No.7 4つの瞳
🎶赤い風船とメリーゴーランド
今夜の自由の女神は満月に照らされ、
さぞ美しいのではないだろうか─。
真尋はちょっと緊張気味に
秋晴れの朝を迎えた。
今夜は、ミスグリーンの
アシスタントの方が不在のため、
真尋は夕食からご一緒できることになった。
それもあり、朝から気持ちが高揚気味だ。
それにしても、
ミスグリーンは何て素晴らしい
レディーなんだろう。
彼女の美しさは、
どんな人も一瞬にして
魅了しまう瞳にあると思った。
〔食事後ワインバーで〕
━━(ミスグリーン)真尋さん、
このマンハッタンブルーはおすすめよ。
私はルビー色に
アロマを漂わせた赤ワインをいただくわ。
━━(真尋)オーマイガッド!
舌が融けてしまいそうです。
━━(ミスグリーン)
まぁ、お口にあって…嬉しいわ(笑)。
━━(真尋)
からかわないでくださ~い。
私はミスグリーンのような、
審美的な美しい目になりたいです。
──(ミスグリーン)
真尋さん、貴女の目も綺麗ですよ。
あとは、慈しみの瞳をお育てなさい。
━━(真尋)慈しみの瞳、…ですか?
━━(ミスグリーン)ええ。
自分が可愛くて仕方がない
ナルシシストさんは無理だけど。
出会った方々が
幸せになるために尽くそうとする女性は、
神様が祝福してくださるわね。
人はすべてが目や瞳に現れるのよ。
思いやり、優しさ、醜さ、愚かさ、
嫉妬、苛立ち、怒り、すべて隠せないの。
━━(真尋)私がクールなのも、
目に出ていますの?
━━(ミスグリーン)いいえ。
貴女は分け隔てなく人を包める方だわ。
ですから貴女のこと、好きよ。
ミスグリーンによると、
女性の美しさは
4つの瞳に凝縮されているという。
見た目美しい瞳
純粋に美しい魂の瞳
温もり溢れた美しい心の瞳
誠実さと責任をもった美しい社会の瞳
ミスグリーンは、
この4つの育て方次第で、
女性の価値は決まっていくと断言していた。
(ミスグリーン)~なんて、
分かったようなことを言っていますけど、
私も、まだまだなのよ(笑)。
尊敬する日本のある先生からの受け売りの段階で。
真尋さん、ご一緒に4つの瞳を
磨いていきましょうよ。
どうかしら、美意識セレブ倶楽部の
東京支部をやってみません?
(真尋)ええっ、この私が…ですか?
(ミスグリーン)大丈夫。貴女ならやれるわ。
ゼロの王子の心を救ったのは慈しみの瞳ですから━。
<礼子さんや優佳さんにも
お手伝いしてもらえばいいかしら…>
真尋は、人を巻き込んでいく才能に長けていた。
話しこんでいる内に、夜10時を過ぎていた。
お色直しから戻ってきたミスグリーンに感動!
礼子さんがほしいと言っていた
"マディソンブルー" の
ムートンロングケープを着ていた。
ベージュとブルーが一つになった
優れものだった。
〔今夜はグリーンはお休みかしら?〕
先ほどのリラックスした顔と異なり、
ミスグリーンのオーラが
ほとばしり出た美しい瞳だった。
━━(ミスグリーン)
真尋さん、お迎えがきましたよ。
私のボーイフレンド、
〈アストンマーティン・グリーン〉を
紹介するわ。
ご存知でしょ?007で有名だから。
車のそばに素敵な紳士が立っていた。
真尋はマンハッタンセレブの世界に
圧倒されていた。