No.6 ミスグリーンの美意識
🎶 天使の夢
ミスグリーンの美意識
━━(ミスグリーン)
王子からの書簡は確かに受けとりました。
どうやら、私の知らないところで、
翔さんや皆さんには、
大変なご苦労をかけてしまったようですね。
…これでは、
会わないわけにはいかないでしょう。
━━(真尋)本当ですか!?
シルクキャッツ、いえ、一色 翔さんが
泣いて喜ばれると思います。
━━(ミスグリーン)
次の満月の夜11時に、
リバティ島でいいかしら。
もちろん、真尋さん、
貴女もいらしてネ!
仮に雨なら、
こちらにご案内して頂戴。
お二人の青年も、
ご一緒でもかまわないことよ。
━━(真尋)はい、
承知いたしました。
━━(ミスグリーン)
真尋さんとは初めてなのに、
おしゃべりしたくなる方ね。
もう一つ秘め事を言いましょうか。
ミスグリーンの話しによれば、
盗難された絵には、
グリーンダイヤモンドの薔薇に囲まれた
ヌード姿の蒼さんが描かれているという。
しかも、二人の情事の後の
艶やかさが余韻として残っているので、
外に出すものではないと。
━━(ミスグリーン)
そんな秘め事の絵に、
一億円以上の値がつくらしいのよ。
━━(真尋) ええっ!
《咳こむ真尋を見て、
声を出して笑うミスグリーン》
━━(ミスグリーン)
まぁ、貴女はチャーミングな方だわね。
真尋さんのこと、好きになりそうよ(笑)
照れまくり、お水を飲む真尋だった。
━━(ミスグリーン)
そんなデリケートな絵だから
美術展には出品しないでって、
一色にお願いしていましたの。
病弱の一色の奥様を
傷つけることがあってはならないし、
私たちを脅迫する人たちも
出てこないとも限らないでしょ。
━━(真尋) ええ、同感です。
真尋はミスグリーン邸を跡にした。
大役を果たした感があり、
セントラルパークを散策することにした。
それにしても、
ミスグリーンのエレガントさは、
恋人館に参加していた
セレブレディたちとは
比較にならないレベルだった。
それにもかかわらず、
あのしなやかな雰囲気と
柔らかな知性には魅了されてしまった。
やはり、ミスグリーンは、
美意識セレブその人だなぁと、
真尋は実感していた。
マンハッタン-Ⅲの礼子も、
群を抜く美しさの持ち主だが、
ミスグリーンの美しさは、
映画「裏窓」に登場した
あのグレース・ケリーに匹敵すると、
真尋は思った。
真尋は、
マンハッタン-Ⅱのグランプリを
受賞していい気になっている自分が
恥ずかしかった。
別れ際のミスグリーンの一言が
頭をよぎっていた。
━━(ミスグリーン)真尋さん、
その綺麗な瞳に志を与えてごらんなさい。
瞳の奥に息づいている
もう一つの美しい瞳と出会えるわ。
それが “ 美意識セレブ ” よ。