No.13 エリカの挫折

 

🎶 きみはやりとげた

大阪に戻ったミス華林は、
風水の達人に会いにでかけた。
その結果、
さらにオーラの強い源氏名に
改名するようにいわれ、
Dr.れいに命名をお願いした。

そして、
新しい源氏名「ミス花凛」の
お披露目パーティーが開催された。
 
東京から駆けつけてくれた
ミス麗子への挨拶もそこそこに、
超美人ホステス、エリカは、
ラジオ番組のゲスト出演を直訴した。
 
エリカ:大阪ナイトクィーン四天王候補に
ご推挙いただけないでしょうか?

ミス麗子:貴女がエリカさんなのね。
まぁ、オーラが凄いわね!
じゃ、番組で、私の妹分でもある
銀座四天王の一人と
お喋りしてみていただこうかしら。

その上で、
エリカさんの力量や魅力を
見せてもらい決めてもいいかしら?
チャンスをつかめるといいわね。

エリカ:光栄です。
必ずチャンスは掴みます!

ミス花凛:ミス麗子、
ご無理を言って、ゴメンナサイ。
エリカは、クレオパトラのように
注目されたいんですって…。

エリカ:はい、花凛ママ。
北新地の夜のためにも。

ミス花凛:北新地? 
銀座の夜でしょ…?

エリカは野心が強い、
取り扱い注意だったが、
お店の稼ぎは、
姉のエレンに次いで
No.2だということもあり、
ミス花凛は多少のわがままは
大目に見てきた。

……………………………

〔ラジオ局ブースにて〕

ミス麗子:今夜は銀座四天王の一人、
越乃ママにお越しいただきました。
お忙しいのに、ご無理を言ってゴメンナサイ。

越乃ママ:クレオパトラからお声がかかるなんて、
こんな幸せなことはないですもの…。
ますます一期一会を大切にしたいですわ。

ミス麗子:まぁ、ママらしいわ。
貴女は変わらないわねぇ。
さすが四天王!
いつも教えられるわ。
 
越乃ママ:ところで、こちらの超美人さんが
例の方ですか?
まぁ、将来が楽しみ!

ミス麗子:夜の大阪で、ミス花凛をも凌ぐ凄腕の
ナイトクィーン、エリカさんよ。

エリカ:はじめまして、エリカです。
将来も大切ですが、今がすべてなんです。
銀座の四天王のママたちは憧れの存在です!

越乃ママ:そうかしら?
先程からミス麗子のお顔しか
見てらっしゃらなくてよ。
関心は私じゃないでしょ‥(笑)。

エリカ:そ、そんな、とんでもありません。
緊張していて、すみません(汗)。

ミス麗子:ところで、
本年度からナイトクィーンとして
評価が高い方々を表彰したいの。
お二人のお考えを伺いたいわ。
リスナーの皆様からも、
どんどんご意見をお寄せくださいね。

越乃ママ:エリカさんは、
どんなオーナーママを
目指してらっしゃるのかしら?

エリカ:お客様を惹きつける綺麗力で稼いで、
お店への貢献度が高い人だと思います。

越乃ママ:確かにそれもあるわね。
‥でもお客様は綺麗だけを
求めにみえないんじゃないかしら。

お店によっては、
お客様と目があったらすぐに、
「山田社長様、お帰りなさいま〜せ。
一息ついてください」とか、

「信州のお漬けものが届いたとこなんですよ!
田中会長様、
今夜の〆にお茶漬けを召し上がりません?」

って、声をかけるクラブが増えてきているのよ。

ミス麗子:それは私が願っていることで‥。
銀座は時に恋愛シアターにもなりえるけれど、
お客様がほっとして、ひとときの安堵感を味わえる
お茶の間セレブにしたいの。
ミス華林、いやミス花凛のママも、同じ考えですよ。

越乃ママ:エリカさんのお姉さんのエレンさんも、
確か、同じ考えだったわ。
貴女ほどの超美人じゃなかったけれど、
新地四天王に推薦したいお客様方も多いと
聞いていますよ。

エリカさん、
貴女はまず、エレンさんのような
周りに気働きできる人柄美人を目指されたらどう?
ねぇ、ミス麗子 ─。

ミス麗子:ええ、同感ですよ。
越乃ママは終始、
貴女に微笑みながら、
温かく、語りかけているでしょ?

おわかり?
エリカさんは銀座新地合わせて、
ナンバー1の美女でしょうし、
貴女をものにしたい殿方はたくさんね。

でも、黒服やお店の同僚の皆さんは、
貴女がチーママやオーナーママになったら、
ついてきてくれるかしら?

越乃ママ:失礼だけど、
今のエリカさんではなく、
エレンさんならついてゆくでしょうね‥。

〔リスナーがいるラジオ番組であることを忘れて‥、
泣き始めるエリカ‥〕

ミス麗子:〔エリカの頭を撫でながら〕
泣かなくていいわよ‥。

貴女は魅力いっぱいだし、
これからの方じゃない?

しばらくは、エレンさんのように、
周りや先輩の意見にも耳を傾けて頂戴。
いつも、頭が出世や野心ばかりで、
私に認められたいばかりだと、
お客様へのおもてなしが
浅くなりかねないでしょ?

お客様からも、
「あの子の一本気は心配だね。」
なんていわれていること、
ミス花凛とエレンさんが心配していましたよ。

越乃ママ:エリカさん、
ミス麗子も、私も、エレンさんも、
4人とも、お仕事以外の時間を大切にしているのよ。

恋とかミュージカルとか、
鈍行列車で伊豆に散歩しにでかけたり‥。
貴女の場合、
癒しの恋でもして、
気持ちに潤いを出してみてはどうかしら?

恋をすると、相手を思いやったり、
愛おしくなったり
して、人間的に素敵になりますよ ─。

エリカさん、はい、これ。
私とミス麗子とミス花凛と
エレンさんからのプレゼントです。
南十字星デザインのキスチョコよ。

それと、
近く星空案内人の沖縄の青年に
お会わせしたいの。
ショコラのデザイナーさんです。

エリカ:えぇ ‥、
こんな私なんかのために‥、ですか?
嬉しすぎます!!
〔またまた泣きはじめるエリカだった〕

ミス麗子:いつか、新地を背負ってね!
急がずに、自分を育てていってくださいナ‥。
大阪へ行ったら、ご飯でも食べにいきましょ。

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