No.5 シーサイドチャーチ
Dr.なつき、ミス花凛、Dr.れいは、
総支配人室に入り、
ヨナ姫の話しで意見を切り出した。
総支配人室長の田坂は、藤堂オーナーの
顔色を伺うように
「ヨナ姫様のお力になりたいですね…」
と、口を開いた。
藤堂:
できるだけの協力をしよう。
ヨナ姫と何人かのお付きの皆さんが
安心して姿を見せられるスイートルーム
をご用意しなさい。
なんとかヨナ姫が恋うさぎとしての
機能を回復できるよう、
独身諸君との波づくりに努めること―。
ヨナ姫は宇宙の神が遣わせた天使かも
しれないな。
あとは田坂室長を中心に、皆さん、
よろしく!
〔藤堂、部屋を出ようとする〕
田坂:
はい、承知いたしました。
Dr.れい:
ヨナ姫は宇宙から地球を見守っている
星人ですね。
いわば、神に代わる存在だとしたら…。
ミス花凛:
れい先生、わかりました(笑)
化神ですね。
ミス花凛のヨミは当たっていた。
〔翌日、
moonstarエグゼクティブフロアにて〕
ホテル企画ミーティングは3回目。
恋うさぎカップルが
よりロマンチックな気持ちで
ホテルを活用してもらえるよう、
アイデアを出しあっていた。
参加メンバーは、
ホテル側の男性は初回と同じく5名。
仲 隼人(宿泊AM)
神野 治(宴会AM)
高城 仁(フロントAM)
和久井 潤(挙式M)
津山 光一(カフェM)
女性は8名。
愛沢なつきクリニックより
美木 薫
月乃 あゆ美
藤堂ガールズより
江田 渚
山下 多香子
弱者に優しいホテルマガジン記者2名
中里 百合
横浜パラアスリート協会アドバイザー
丘 瑠璃子
ミス花凛
田坂室長
計13名であった。
初めて参加した2名の女性から、
シーサイドチャーチを作っては
どうかとの意見が出され、
まず、ミス花凛が賛成した。
中里:
私と丘さんのような、
いまだ失恋引きずり組は、
海の上のシーサイドチャーチをみると、
そこに幸せが…潜んでいるような気が
して─。
ねっ、丘さん?
丘:
中里さんはお綺麗ですから…。
私は…、いいですね、海の上なんて。
ミス花凛:
最高だわ!
チャーチの裏にヘリポートも
つくりましょうよ。
話題になりますよ、きっと。
あら、一人浮いちゃったかしら(笑)。
高城:
フロント担当者としましても、
お客様の幸せな笑顔を想像できますし、
予算さえいけそうなら、大賛成です。
和久井:
高城君さ、
それはまず、挙式担当者全員が
一番張り切る案件でしょ。
先に盛り上がらせてほしいなぁ(笑)。
高城:
和久井先輩、あっ、そうでしたね!
江田:
イベントプロデュース会社としましては、
藤堂オーナーにご評価いただけること
でしたら、
山下さんとも、燃えちゃいますわ(笑)。
神野:
でも、喜んでばかりはいられないですよ。
雨日、台風シーズン、
突然の線条降水帯を視野にいれた
運用プランニングがポイントでしょう。
ミス花凛:
地元の皆さんはぷかり桟橋のスタッフに
あたりました?
一階は海のターミナルは天候次第で
閉めているそうよ。
2階レストランが休業していると
いうことは、営業が成り立つ条件が
満たされていないと考えなきゃ
いけないでしょ?
津山:
大阪の方なのに、さすがですね。
カフェ担当者として関心がありました。
フローティングレストランのアイデアは
よかったと思いますが、
揺れで酔う方が出ることを
計算しなかった点がミスでしたね。
月乃:
以前そちらで、ゴルゴンゾーラのチーズ
をいただいたことがあるんですけれど、
休業つづきじゃしかたないですね。
津山:
ぼくも食べましたよ。
美味しかったですね。
美木:
あら、お二人さん、
気が合うみたいですね(笑)。
津山:
からかわないでくださいよ(笑)。
月乃さんが困ってるじゃないですか…。
山下:
シーサイドチャーチは、
ロマンチックイメージのシンボルとして
あってもいいですし、
テレビや映画のロケに使ってもらう
デザインを意識しませんか。
中里:
有り難うございます!
田坂:
皆さん、賛成のようですし、
後程ミス花凛と藤堂オーナーに
お願いしに参りましょう。
皆さん、さらに煮詰めてくださいませ。
ご期待しておりますわ。
🐇
田坂室長:
〔オーナー室に向かいながら〕
藤堂オーナーは公私とも、
貴女をお気に入りのようですよ。
ミス花凛:
光栄ですわ。
でも、…プライベートな面は
わたくしでは役不足です。
〔意味深な目で田坂室長を見ながら〕
きっと意中の人はオーナーの近くに
いらっしゃると思いますが(笑)。
田坂室長:
まぁ、さすが新地No.1の
スーパーママだわ。
まさにプロの話術ですね!
ところで、ヨナ姫はどんな形で、
恋うさぎへのリハビリをされて
ゆくのかしら?
ミス花凛:
お耳をお貸しいただけますか。
田坂室長:
まぁ、そういうこと─。
すでに、恋うさぎへのリハビリ作戦は
進んでいるようだった。
No.6へ続く