No.4　ヨナ姫、恋を語る…。

ヨナ姫は侍女たちに勧められ、
スコッチを試してみた。

口の中に幸せが膨らみ、
ショコラも美味しいと感じた。
久々に、沈んでいた気分に
薄日がさしたようで、
侍女たちはチャンスにしたい…と思った。

ヨナ姫はなつき院長の心温かな治療が
素晴らしく、なつき院長の心の治療を
受けたいと思うようになっていた。

クリニックの診療が終わり、
一人になった院長室に、
そっと舞い降りたヨナ姫…。

ヨナ姫：
突然、すみません。
ティファニラーレ星からきましたヨナ
と申します。
私の姿はまだ見えないので、声だけで、
お許しくださいますか？

Dr.なつき：
ティファ二ラーレ星が存在することは
存じています。
まさかそこのお姫様とは…。

ヨナ姫：
なつき先生、
驚かせてしまい申し訳ありません。
一旦姿を表してからは、異性に関しては、
三人の方しかお目にかかれない規定が
あります。

ヨナ姫はとつとつと、なつきに語った。

横浜に舞いおりた理由。
大失恋し、傷心状態にあること。
治療し、また恋する心を取り戻し、
美しいキスを交わすことができたら、
ティファニラーレ星に多くの恋うさぎの
子孫を誕生させる事ができること。

ヨナ姫：
私を捨てた方に汚されたこの体を
浄化しなくてはなりませんの。
誠実な心をもつ方のタンパク質が
必要なのですが、
営み自体が美しく思えなく、
歓びに至る女の体には…。

Dr.なつき：
性の行為自体は、美しくはないですわね。
私も抵抗がありますし、
お気持ち同感です。

仮に
ヨナ姫が関係者のどなたかに魅了され、
心底好きになったと思ってみませんか。
女って不思議な生きもので―。

たとえば大ファンである
トム・クルーズさんに見つめられ、
「君が好きだ！」とキスされたら、
行為が苦手でも、そのまま愛されていき、
恥ずかしいポーズをとってしまうことは
想像できますよ…。

どんな方なら、恋をしてみたいですか？

ヨナ姫：
瞳が綺麗で、純粋、優しく導いて
くださり、
まるでシルクを触れるかのように手の
感触が心地よく、
安心して、恋うさぎを出させてもらえる
フェミニストの方が…。

Dr.なつき：
なんて素敵な世界でしょ！
そんなふうにタッチされたら、
無意識にセクシーな美アーサナの
ポーズをとっていても自然だし、
醜くないですわ。

ヨナ姫：
夢を見るんです。
日本の浴衣を着ている私。
花火の夜に帯をほどく人がいます。
…その後、私のカラダは熱くほてり、
帯をほどいた人が愛しやすいヨガの
パピーのポーズをとろうとして、
夢が覚めますの。

Dr.なつき：
何だか、恥ずかしくなってきません？
ヨナ姫、スコッチとショコラはいかが？

ヨナ姫：
はい、いただきたいですわ。
なつき先生、お目にかかってすぐに
こんなお話しができるなんて、
世界の名医と言われるだけ
ありますこと！

Dr.なつき：
私も、びっくりです（笑）。
ヨナ姫が勇気を出して、
私を求めてくださったことに感動して
しまいましたからかしら…。

二人に気持ちの繋がりができたところで、
なつきは、次のように提案した。

Dr.なつき：
もし私をご信頼していただける
ようでしたら、
ヨナ姫のおかれている状況を、
キーパーソンの方のお耳に
いれておいたほうがスムーズに物事が
運ぶと思いますが、
私に一任いただけますか？

ヨナ姫：
はい、もちろんです。
なつき先生のお考え通りで―。

Dr.なつき：
まずは、恋うさぎホテル企画
ミーティングでの様子、
日頃のお仕事ぶりなど、
姿を表さずに、覗いてみましょう。

それで気になる方があらわれてきた
ようでしたら、
その方とさりげなくお話しできる状況を
お作りしますわ。
いかがでしょう？

ヨナ姫：
はい、それなら…、少し気持ちが楽にな
りそうです。
何しろ、地球の皆様との交流が初めて
ですので、かなり緊張しております。

Dr.なつき：
それはよかったですわ。

ヨナ姫：
今の段階で、先生の目に叶う方は
いらっしゃいましたか？

Dr.なつき：
実は私自身も、恋はあまり得意では
ありませんの。
常連の患者様なら、多少はお人柄が
わかりますが、
恋活、婚活となりますと…(´；ω；｀)。

でも、ミス花凛とDr.れい先生なら、
ホテルのことから、恋のこと、
人のことまですべてわかるはずです。
このあと、お目にかかりますが。

ヨナ姫：
ではまた姿を消して、
お話しの様子を伺っても？

Dr.なつき：
もちろんです！

………………………………………………………

〔ホテル内のなつきのプライベート
ルームに友人のミス花凛、Dr.れいが
やってきた〕

なつきは
ヨナという星姫が舞い降りてきた
特殊事情について二人に説明した。

ミス花凛：
なつきさん、さすが人柄うさぎだわ。
少し急いだほうがいいわね。
れい先生、候補者を二人ぐらいに
絞れませんか？

Dr.れい：
いや、この問題は、まず藤堂オーナーの
全面協力が必要ですよ。
ティファニラーレ星との親交を視野に
いれることを考えるでしょうね―。

〔透明浮遊していたヨナ姫は、話が
大きくなっていきそうな予感がした…〕

No.5につづく