No.3 ミッドナイト Liberty

🎶遠い港の夜景

ミッドナイト Liberty

誰もいないリバティ島で、
自由の女神を見上げている女性がいた。
ミスグリーンである。

黒のベールに、黒のコート、
つばの広い黒のハットをかぶっている。
深夜のシークレットな外出時には、
グリーンではなく、
ブラックの出で立ちである。

マスコミ情報で、
ミスグリーンは緑色以外は
着ないと思われていたから、
本人とわからないはずである。

いつもは満月の夜に立ち寄るのだが、
この日は亡くなった母から
ペンダントを譲り受けた日であり、
同時に双子の妹が
姿を消した日の夜でもあった。

新月の今宵、彼女は複雑な想いになり、
リバティ島に来ないでは
いられなくなった。

目にはうっすらと光るものが…。

少し遅れて、
ステッキをついた老紳士が

近づいてきた。

女性がいるとわかると少し驚き、
体のバランスを崩して、
よろけてしまった。

脚を怪我しているらしい。

━━(ミスグリーン)
お怪我はございませんこと?

━━(杖の老紳士)
歳はとりたくありませんな。
お恥ずかしい。

━━(ミスグリーン)
お脚がご不自由ですと
こんな夜は危ないですわ。

風も強いですし。

━━(杖の老紳士)ご親切にどうも。
それより、

貴女様のようなセレブの方には、
ニューヨークの夜は危険ですよ。
早くお帰りなさい。

ミスグリーンは老紳士に
背を向け去ろうとしたが、

少し気になって、振り向いた。

━━(ミスグリーン)あの、貴方こそ、
どうしてこんな真夜中にここへ─?

━━(杖の老紳士)
…いや、秋のニューヨーク港の夜が
好きなんですよ…。

━━(ミスグリーン)
「他に理由があると感じながらも」
そうですかー。

ではお気をつけて。

数日が経ったが、老紳士の、
あの目はどこかで

見たような気がして仕方がなかった。

「…お会いした記憶が。ルーブル?
恋人館?他?でも見たような!?」

老紳士も、やはり、
黒ベールの夫人を気になっていた。

・・・・・・・・

ところで、
碧川や三井は、
何回もバーバラ智美にコンタクトをとっていたが、
ミスグリーンとの面会は許されず、
困っていた。
シルクキャッツは入院中とのことで、
あまり心配をかけたくなかった。

何か知恵はないだろうか──。

二人は真尋に助けを求めることにした。

真尋は、シルクキャッツの病室を訪れた。
碧川や三井も一緒だった。

シルクキャッツと真尋は、
次の満月まで待つことで意見が一致した。

満月の日が刻々と近づいている。

果たして、
ミスグリーンは異母兄弟である
シルクキャッツからのお願いを受け入れてくれるだろうか──。

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