碧月 れいの The Column - No.1 情の小怪

🎶3月の澄んだ空

碧月 れいの The Column 

1. 情の小怪


デビュー作「天空の恋人館」をご一読いただき、有り難うございました。
読み返しても不備不足の箇所が少なくなく、エディターの青山桜子さんのお力添えに感謝しているところです。
読者の皆様にお育ていただきながら、
筆力を高めていきたいと思います。

碧月れいのラブストーリーでは──。

「恋に始まり愛を知る」ことで、
登場人物が成長します。
登場人物は大切な宝物ですが、
時に心の邪と対峙しながら、
幸せに生きようとします。

人の世には恋の迷路に足を入れ、
道を間違う男女が少なくありません。
《情の小怪》は怖いものです。
一度その小怪へ足を踏み入れてしまうと、
心を偽る魔境の森から抜け出すのは大変だからです。

私に恋や男女の相談をしてくる人たちには、《真尋》のような美しい心を学んでくださいと、申しあげてきました。
自分の心の中に誠実な《真尋》が姿を見せると、たとえ迷路に足をとられても、
正道に戻すことは可能だからです。

私ごとですが、
これまで世界をかけめぐる
幾多のラブストーリーを経験してきました。
そこで学んだことは、
戸惑い、優柔不断なマインドの持ち主は、
恋も、仕事も、人生も迷路に陥り、
成功しないということです。

マインドに迷いが多く、
不誠実ですと曖昧な情の中でもがき、
冷静な判断ができなくなります。
結果、周りに迷惑をかけ、信頼は失われます。

とある芸の和道に生きてきた教え子 は、
国宝第一号である京都広隆寺弥勒菩薩半伽思惟像の誠実な美しさに触れ、
精進を心に誓っておりました。

また《真尋》の誠実さにも感動し、
家元修行をしてきておりました。

ところが、芸の和道で最も大切な
「偽りのない情」
をみずみずしく運用しなくてはならないのに、
"情の小怪"に迷いこみ、悟りと真逆な "魔境の光" を受けてしまいました。

すなはち、芸の和道を精進する正道を踏み外そうとしています。

教え子は芸事に恋をし、和道に惚れきるには、自他に不誠実なマインドを示すことが許されないことを学ばなくてはなりません。

恋でお相手を傷つけた人は心から懺悔しない限り、次の恋もまた失敗に終わるのと同様に、芸の和道も暗闇の壁に当たってしまいます。

恋も、芸事も、そこにあってはならない情の汚れを取り除き、情の小怪と魔境から立ち戻ることで、道は拓けます。

私は芸の和道の高みを会得することで、
恋が愛へと向かう真実を知りました。

京都の弥勒菩薩半思惟像に恋し、
慈しむことが
ラブミステリーを書き下ろす動機になったと言ってもよいでしょう。

男女の恋も、芸事の精進も、
限りなく《誠実な情》なくして実らないということをお伝えしたいと思います。

この小文に目を通した教え子 は、
小悟へのラストチャンスに
恵まれたと考えるか、汚れた修行マインドに埋没してしまうか、いずれかでしょう。

上部だけの「気」の修行が浅く、
今や芸事の家元修行さえ恥ずかしい心の魔境に陥った事実を知ることで、
生まれ変わることをひそかに希望しましょう。

読者の皆様、恋に、
人生に戸惑うことがありましたら、
《真尋》の誠実な姿を思い描きながら、
京都の弥勒菩薩半思惟像をご覧になることをおすすめいたします。

少々硬い話になってしまい、失礼しました。

ショートshort シリーズや短編では、
ワクワクしていただくように書き下ろします。

どうぞ、お楽しみくださいませ。

碧月 れい

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