No.9 恋活談義💚
ヨナ姫を囲む男性企画メンバーの会が
開催された。
同席者は、
Dr.れい、
ミス花凛、
ヨナ姫の主治医のDr.なつき、
なつきクリニックの月乃、
ヨナ姫に恋うさぎへの関心の
きっかけとなった金井、
総支配人室スタッフの高山の6人。
なぜか、ヨナ姫の顔に精気がなかった。
Dr.なつき:
ヨナ姫、少しお疲れのようですが、
他の日に代えましょうか…。
ヨナ姫:
〔小さな声で〕…大丈夫です。
Dr.なつきは少し心配だった。
……………………………………………
アシスタントマネージャーの三人は
藤堂グループの同期入社で、
将来を嘱望されていた。
宿泊部門の仲とフロント部門の高城は、
女子スタッフからの人気を二分していた。
宴会部門の神野は花形の二人に隠れ、
あまり目立たない存在だった。
ミス花凛からは、
「神野君、もう少しハキハキ話して。
遠慮していちゃダメでしょ!」と、
時々、喝!をいれられていた。
マネージャーとしては、
ウェディング部門から、和久井が、
カフェラウンジ部門から、津山が
参加していた。
和久井と津山は、後輩からも慕われ、
実力も拮抗していた。
学級委員長タイプの和久井に対して、
津山は世間なれした都会派で、
人の心の内を読むことに長けていた。
〔金井優佳さんがハープで、
ロマンチックな曲でサポートする〕
ミス花凛:
ハープは甘い気持ちになりますね…。
ヨナ姫からのご希望もありまして、
皆さんとおしゃべりされたいと
おっしゃって、
この場を設けましたの。
最初に、二つばかりお尋ねして
よろしいですか?
まず最初にお尋ねします。
⚪なぜ、ヨナ姫と恋をしたいのですか?
意表を突く質問に、
すぐさま答える人はいなかった。
数分後、五人の口が開いた。
★こんな素敵な方と、
夢のような恋ができたら幸せだと
思いました─。
★一瞬で、
お守りしてあげたくなりました。
★星の国の女性はどのような恋をする
のか知りたくなりました。
★心のリハビリとなるのであれば、
どんなことでも
ご奉仕したい気持ちになりました。
★盆踊りフェスタ前夜、
ヨナ姫ご自身から、
恋うさぎにならなければ、
お国に生きて戻れないと聞きました。
だとしたら誰かがヨナ姫の心を掴んで
ほしい!と願いました。
ヨナ姫の表情が一瞬動いたかのように
感じたのは、
最後の二人のスピーチのときだった。
ミス花凛:
皆さん、有り難うございます。
ちなみにDr.れい先生なら、何て
おっしゃるのかしら、知りたいですわ。
〔一同頷く〕
Dr.れい:
こんな天使のような乙女は、
笑顔で幸せに生きてもらいたいと
思いません…?
もし自分なんかを選んでいただけたら、
ヨナ姫の幸せのために何ができるの
だろうかと考えると思いますね。
ぼくが皆さんぐらいの年齢だったら、
そのようなことを
感じたでしょうかねぇ(照れ笑い)─。
高山:
まぁ、フェミニストらしいご発言だ
こと!
ヨナ姫がうるうるされていますよ。
ヨナ姫:
皆さん、先生、有り難うございます。
心から笑った記憶が…、
しばらくはございませんね。
高山:
では次にお尋ねいたします。
⚪ヨナ姫のお国に行く覚悟は?
結婚したら、王子様になるわけですから、
いかがでしょう。
覚悟がおありの方は挙手をお願いします。
…
はい、即答はお二人ですね。
残り三人のうち、
一人が質問をしたいようだった。
★許されるなら、地球と星の国の
架け橋にならせてもらいたいですから、
往き来させてください。
ヨナ姫:
ええ、この日本が親戚になりますし、
可能だと思いますわ。
そのご意見は、ティファニラーレ星王が
お慶びになるでしょう。
月乃:
皆さん、なかなかのナイスボーイで
素敵!
対象外のわたしまで心が動きそうですわ(笑)。
津山:
月乃さんもシングルでしたか?
月乃:
えぇ、そうなんですよ。
津山:
このチームはほとんどがシングルの
ようですね。
ヨナ姫以外にも
カップルができたらいいなぁ。
Dr.なつき:
ではここからはフリータイムで、
ご自由にスコッチトークをどうぞ。
〔しばらくフリートークで、
ヨナ姫にも時折微笑みが…〕
金井:
皆さん、いつもと違った、
この緊張感が新鮮ですね。
どの方も、誠実で、
素晴らしいですわねぇ…
ヨナ姫様、いかがですか?
ヨナ姫:
…、は、はい。
皆様、す、素敵で─。
〔~と、いいかけた時、
ヨナ姫の意識が消え、倒れた〕
🌱
検査の結果、
ストレス内科医Dr.なつきは
ヨナ姫はストレス性の肝性脳症と
診断した。
肝臓の中の解毒作用が不十分により、
血液内の有害物質が脳へ移ったらしい。
長年の心痛の蓄積で、
ヨナ姫の肝機能が低下し、
時折軽い意識障害に陥ることがあったと、
侍女たちの一人が語ってくれた。
ヨナ姫はしばらく安静の日々を過ごす
ことになった。
一体、ヨナ姫の恋活の行方はどうなるの
だろうか―
No.10へつづく