No.12  一冊のノート

 

🎶氷雨


生前、雪也画伯が
進めていたミュージアムが
完成した。

元気を取り戻した翔は、
雪也画伯と
葵の絵を常設展示した
新しいタイプの
ミュージアムが開設させた。

ノートの指示通り、
ミスグリーンが身に付けている
グリーンダイヤのペンダントの
ミニ蓋を開け、
それを絵のダイヤにあててみた。

すると━━、

湯上がりの女の首に
工夫されたミニホックが
浮き上がってくるではないか。

そしてミスグリーンは
ペンダントをかけた瞬間、
二つの星と二つの三日月が
合わさり、まさに美しいダイヤの
光りを魅せたのである。

一同、絶句した!

ミュージアムは、
世界から注目されるにちがいない。

血の繋がった三人は、
お互いの顔を見合っていた。

━━(ミスグリーン)盗まれた
<星と月を眺める湯上がりの女>
を飾ったら、
また絵が狙われないかしら?
ミスター翔、
警備にも力をいれましょうね。

━━(翔)ええ、そうしましょう、
ミスグリーン。

〔役目を果たした
ミスグリーンは
宿泊先のホテルのバーで
真尋とワインを楽しんでいた〕

━━(ミスグリーン)ミス真尋、
久しぶりに、
ちょっと旅をしてこようと思うのよ。

━━(真尋)おひとりで…?
どちらへ?

━━(ミスグリーン)ええ‥、
まぁ、気のむくまま…。

━━(真尋)さしずめ
「ミスグリーンの秘密」
ですね‥(笑)。

━━(ミスグリーン) …。

翌朝、挨拶にきた真尋は、
ロビーで考えこんでいる
ミスグリーンを見かけたが、
声をかける雰囲気ではなかった。

一体、ミスグリーンの抱く秘密
とは何だろう──。

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