碧月れいの 【ショートshortシリーズ】 No.1 パステル色の恋時計

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『ショートshortシリーズ』

1. パステル色の恋時計


華音はマリー・ローランサンの
絵の大ファンであった。

国内はもとより海外へも
ローランサン展鑑賞の旅を生きがいにしていた。

恋人館で出会った由良から
マリー・ローランサンのパステルカラーの絵が
好きだと言われたときの感激は、

言葉では良い表わせないほど嬉しかった。

蓼科湖畔にあったマリー・ローランサン美術館が
閉館され、10年が過ぎでいた。

華音は自力で、マリー・ローランサンプチサロンを
開こうと、精力的にお仕事をこなしていた。
真尋の提案で、基金も作った。

その基金に、KLの名で、
毎月50,000円が振り込まれていた。

知人にKLというイニシャルの人はいなかった。

一方恋人館の出会い後、
由良は、抑うつと闘いながら、

ひたすらバーテンダーの修行に打ちこんでいた。

プロバーテンダー試験に合格したら、
ゼロの王子の許可をもらい、
華音に会いに行こう!
と心に決めていた。

そんな二人にパステルな恋が…。

〔華音はパリでのテレビ出演の仕事を終え、
パリ=シャルル・ド・ゴール空港へ向かおうとしていた〕

━━(テレビ局スタッフ) 華音さま、
マリー・ローランサンのお花が届いております。

━━(華音) えっ、はい、有り難うございます!
わぁ、素敵!またKLさんだっ。

ウキウキしながらテレビ局の送迎車に乗った。
出発口に向かおうとしたときだった。

━━(由良) 華音さん、KLです。

━━(華音) …、由良さん…が?

━━(由良) KaonさんをLoveしていますよ~のKLです。

━━(華音)由良さんなんか…嫌いです!

〔と泣きながら、
白い小さな手で彼の胸を叩いていた。
抱きかかえる由良〕

━━(由良) あの節はごめんなさい。

大恩人の王子の御体が危ぶまれていたので、
東京でのマリー・ローランサン展に行けなくて…。
王子からも、華音さんを大事にしなさいと
言われました。
もう、公にお会いできます。

恋人館内の3つ目のバーを、
《bar 華音》にしてもいいですか?
マリー・ローランサンの絵も、
王子が購入してくれると言ってくれています。

華音さん、たまにはbarで、
歌ってもらえたら嬉しいな。

ご招待しますし、
ぼくも、東京に会いにきます。

━━(華音)もう悲しくさせない?
寂しくさせない?

私は恋乙女さんだから、
ほっておかれたらダメになっちゃいます。

約束できます?

━━(由良)もう二度と、
貴女との約束を破ることはないです。

どうか、信じてほしい。

二人は、人々が混雑した空港で、
一年ぶりの熱いkissを交わした。

華音は胸の高まりを覚えた。

パステル色の恋時計が動きだした━━。

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