『 天空の恋人館 』No. 11 消えた亜梨沙!?
🎶届かない想い
『天空の恋人館』
11. 消えた亜梨沙!?
恋人館の2日目の21日、
5人はランチタイムに顔を合わせた。
リリカとうららは上機嫌で、
昨夜の余韻のままに夢心地であった。
華音は由良と朝まで語り明かしたとみえ、
まだ眠そうだ。
真尋は仕事で来たという
姉貴分の礼子に会いに、
神戸の街へ出掛けていた。
━━(リリカ) あれ、亜梨沙は?
━━(うらら) 昨夜から見かけてないけど‥‥。
━━(華音) メールも来ていないよ。
どうしたのかしら?
リリカが電話したが、電源を切られていた。
亜梨沙はメール魔だっただけに、
3人はすごい心配でならなかった。
3人は、高梨、由良、夏未にも尋ねて回ったが、
誰も心あたりがないという。
手分けして探しているうちに、
うららが、亜梨沙のイアリングの片方を見つけた。
「一体、何が‥‥」
夜になっても、真尋は戻ってこなかった。
不安が募ってきた。
結局、その日一日中探しても見つからず、
3人は疲れはてて、
ラウンジのソファーで寝込んでしまった。
恋人館3日目22日の朝を迎えた。
恋人館の敷地は雪景色で、美しかった。
ガーデンからみるキャッスルの琥珀色が
眩しく映っていた。
高地ならではの凍るように寒い朝、
真尋が姿を見せた。
━━(真尋) 亜梨沙が見つかったわよ!
━━(華音、リリカ、うらら) えっ、どこで?
4人は、恋人館に隣接する
〈スチュワート田村クリニック〉を訪れた。
院長のDr.スチュワート田村の説明では、
「気がつけばセンターの
待合室で眠ってらっしゃって━。
いまだ眠りから覚めないのですよ」
だが、その顔は至福の幸せそのものだ。
そして、枕元には、琥珀色のカードがあった。
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亜梨沙さんの大切なものをいただきました。
処方した〈ジュテーム〉という
アロマ剤が効きすぎて眠っています。
正午までには目を覚ますはずです。
快盗シルクキャッツ
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━━(華音)快盗シルクキャッツと
出会ったってこと?
━━(真尋)そうなるよね
━━(うらら)亜梨沙は何を奪われたのかな?
━━(リリカ)パーティーフロアに舞い落ちてきたカード、
やっぱり、最初から亜梨沙を狙っていたんだわ。
4人は、亜梨沙が目覚めるのをただただ待っていた。
━━(リリカ、うらら)亜梨沙!!わかる?私たちだよ。
亜梨沙が目を開けた。
━━(亜梨沙)あれ、私、どうしちゃったの?
━━(真尋)覚えてないの? 花火の夜はどうしてたのよ。
━━(亜梨沙)‥‥‥‥‥うーん、それがさぁ‥‥
19日夜から21日の朝方まで、
亜梨沙の記憶は真っ白だった。
一時的な、エピソード記憶障害らしい。
━━(真尋)これ、シルクキャッツからのカードよ。
━━(亜梨沙)シ‥ルク‥キャッ‥ツ、何、それ?
━━(華音)何かが奪われたみたいよ。
━━(亜梨沙)大切なもの‥‥?
ごめん、わからない。
念のため、頭部の検査入院をすることになった。
亜梨沙の身に何があったのか?
そして、この幸せな顔は何を意味するのか?
真尋の脳細胞の窓が開き始めていた━━。