『 天空の恋人館 』No.13 名探偵・真尋
🎶夜空に舞う鳥
『天空の恋人館』
13. 名探偵・真尋
深夜零時になり、23日のイブイブになった
X'masイブまであと一日だ。
期せずして、ヒロインに躍り出た真尋━。
真尋は、報道キャスターと
推理作家部門グランプリを
受賞した頭脳派タレント。
恋愛スクール・マンハッタン-Ⅱ
No.1人気タレントの
礼子の推薦を受けた、
生え抜きの美人エリートである。
若村麻由美に似た小造の顔と
シャープな頭の回転が持ち味で、
藤堂オーナーはもとより
同期や後輩からも一目置かれていた。
それもそのはず、真尋は、
華麗なる柚希ファミリー
の令嬢で、海外メディアからも
注目されている。
米国のスタンフォード大学で犯罪心理学と
ジャーナリズムを専攻し、
ニューヨークで藤堂オーナーから
スカウトされた経緯がある。
警察庁副長官を父親に、
テレビ青山初の女性報道局長を母親にもつ。
警視庁科研の分析官の姉と、
ニューヨーク在住の検事の兄とトリオを組み、
これまでさまざまな難事件を解決してきた。
家族からは「探偵姫」として気に入られている。
‥‥‥‥‥‥
さて本題に戻そう。
真尋は、幾つかの疑問を語った。
疑問1
藤堂オーナールームでプレゼントされた
5枚の招待カードと、
恋人館パーティールームで亜梨沙の手にわたった
カードが同じ紙質が使われ、
かつ、カード内の∞∞∞∞∞の
デザインまで同じだったこと。
疑問2
ゼロの王子と快盗シルクキャッツの両方から、
「大切なものを盗まれないこと」を
強調されていたこと。
疑問3
亜梨沙、リリカ、うらら、
華音の男性の好みがよく調査研究され、
特別のイケメンが用意されていたこと。
疑問4
さらに神戸市街で会った礼子から、
「どうやら、藤堂がグランプリ大賞への
コンペを仕掛けたようね。
アイツなら、やりそうだわ」
もし礼子の読みが当たっているなら、
スタイリストの夏未から渡された
真尋用の特注ヒールの謎が解けること。
疑問5
候補者として真尋のみを残し、
ゼロの王子と引き合わせる段取りができていたと仮定すると、
ゼロの王子と藤堂オーナーは繋がっているばかりか、
快盗シルクキャッツチームも、協力関係にちがいない。
なぜそこまでして、
真尋をゼロの王子に引き合わせたかったのか。
それが最大のミステリーだ。