『 天空の恋人館 』No.5 華麗なるマスカレード
🎵カピパラの夢
『天空の恋人館』
5. 華麗なるマスカレード
私たち5人のもとにパーティースタイリストの
夏未(なつみ)がやってきた。
━━(夏未) キャッスルのマスカレード(仮面舞踏会)は、
シネマでやっているマスカレードより、
本場仕込みで素敵ですよ。
ヨーロッパから演出家や空間プロデューサーを招き、
ステージを盛り上げますの。
お喋り上手な、陽気な夏未だった。
ヘアのセット、衣装コーディネートも素晴らしかった。
いつのまにか、
それぞれのボディにフィットした
ドレスやヒールが揃えてあった。
上質なシルクのドレスや履き心地のいいヒールに、
4人は大はしゃぎだ。
でも真尋はハイな気分にはなれなかった。
〈5人の足のサイズはどうしてわかったわけ?
とりわけ私は、右足のみ外反母趾用オーダー靴を
用意してもらっているので、
そんなことを夏未がわかるはずがないもの〉
この一点が頭をよぎった━━。
スクールに通じている者がいる気がしていたが、
やはり…。
みんなにはまだ黙っていることにした。
5人がパーティーフロアに登場すると、
盛大な拍手が起き、
世界のセレブな紳士たちが
次々に5人に声をかけてきた。
そこはまたたく間に、
ダンスフロアに早変わりし、
仮面舞踏会が始まった。
スクール生は全員ダンス上手だったし、
アルコールも強く、
こうした華やかなパーティーでは、
海外のセレブ女性たちと比べ遜色がなかった。
亜梨沙、うらら、リリカは、
次々とダンス相手を変え、
今夜の相手を吟味していた。
発展家ではない華音と真尋は、
3人には遅れをとってしまったが、
感性が合いそうな紳士との出逢いを、
全く期待していないわけではなかった。
ここで予期せぬ事が──!
突然、ダンスフロアの照明が消えたのである。
しばらくして、照明が戻ると、
天井から、琥珀色のカードが舞い降りてきた。
手にしたのは、亜梨沙だった。
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パーティーを、楽しんでいますか?
Xmasイブまでに
貴女の大切なものを盗みに馳せ参じます。
それを阻止できましたら、
ゼロの王子は貴女に興味をもつでしょう。
快盗シルクキャッツ
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ゼロの王子だけでもミステリアスなのに、
快盗シルクキャッツだなんて!
リリカやうららは、
ゼロの王子と快盗シルクキャッツと
どちらがカッコいいかなぁ…
などと、お気楽なことを話していた。
5人とも、かなり興奮気味だ!
真尋は〈なぜ、亜梨沙なのか?〉が気になって、
ダンスどころではなかった。
カードは亜梨沙が受け取るとは限らないのに。
カードの中の「貴女」というのは、一体誰なのか?
真尋はダンスの休憩時に、
みんなに幾つかの疑問について、
やはり話すことにした。
薔薇の庭で酔いを覚ましながら、
みんなで頭を整理しようということになった。