『 天空の恋人館 』No.4 ゼロキャッスル
🎵お城の舞踏会
『天空の恋人館』
4. ゼロキャッスル
エアーファルコンは、
天国に一番近い
「天国ブリッジ駅一丁目」駅に到着した。
しばらくすると、風が甘く薫る気がしてきた。
雲海に囲まれた薔薇ロードを過ぎると、
おとぎの国そのままの美しいお城が姿を見せていた。
5人は一瞬顔を見合わせ、ため息をついた。
━━(亜梨沙) オーマイガッド!
━━(うらら)これが、恋人館かぁ…。
━━(華音)違う惑星に来たみたい。
━━(リリカ)ウソッ、お空に浮いてるゥ!!
━━(高梨)別名《ゼロキャッスル》と呼ばれています。
お美しいでしょう。
一同、一瞬茫然としていたが、キャッスルの中から
話し声や生演奏の音が聴こえてきた途端、我にかえった。
エントランスの扉を開けると、パーティーフロアに
ドレス姿やタキシード姿の男女が談笑し、賑やかだった。
そこから薔薇の庭とプールがみえていた。
真尋たちは、お喋りロボット:ロータスcab
に乗って、プールやガーデンを一回りしはじめていた。
━━(ロータス) お美しい皆さまをお乗せでき、
光栄でございます。
プールでは、全裸らしい男女がアイマスクをしたまま、
水遊びをしたり、恋の戯れに興じていた。
プールサイドには、
スタイルのいい女性たちが天空新体操を楽しんでいた。
これ、現実?
5人は、一つのシネマを見ているような光景を目にし、
言葉を失っていた。
ロータスcabを停止させ “ゼロキャッスル”全体を眺めた。
大理石でつくられたゼロキャッスルは、
月明かりの中にフワッと
浮き上がっているかのように美しく、
どことなくミステリアスに感じられた。
口数の少ない華音が珍しく、
「このゼロキャッスルに住みたいなぁ。
ゼロの王子に会いたい」
と、しみじみと一言。
恋人館を紹介すると━。
8層に分かれており、
私たち5人全員は1階のパーティーフロアにいる。
2階から6階までは、
恋人たちの宿泊フロアらしいが、
詳細はわからない。
7階は、さらに美しくなるための
ヴィーナスフロアだという。
そして、最も気になるのが最上階の8階である。
【ゼロの王子】が住むペントハウスフロアである。
通称:ゼロキャッスルということだが、
まだ誰もゼロの王子の素顔やプライベート姿を知らない。
妄想は膨らむばかりだ。
その謎解きができたら、凄いご褒美が待っていると、
高梨から聞かされていた。
5人の好奇心は早や全開していた━