『 天空の恋人館 』No.6 招待状の謎
🎶ウォータールーブリッジ
『天空の恋人館』
6. 招待状の謎
今からちょうど一か月前、
5人は、部門別グランプリを手にした。
その夜、5人は藤堂オーナーに呼び出された。
──(藤堂)神戸に、地図には載っていない
恋人館という社交ハウスがある。
北野の坂からさらに高台にあって、
一瞬、空に浮かんでいるように
見えるキャッスルだ。
君たち5人は、
その所有者からセレブしか参加できない、
その恋人館に招待されている。
実はぼくたち夫婦も、
そこで出逢ったんだ。
縁起のいい場所でもあるんだ。
どうだい、行ってみないか?
──(真尋)あの……、
〈なぜ、私たちが?〉と
聞きたかった真尋だったが、
いつにも況して、
藤堂オーナーの意味深な表情が
その言葉をのませた。
私たち5人が選ばれた理由が
きっとあるに違いない。
卒業生スターは
十人以上もいるはずだし………。
やっぱり、何かある。
推理作家志望の真尋の
美しい脳細胞が作動した。
それを察知したかのように、
藤堂は口を開いた。
──(藤堂)君たちはまだセレブじゃない。
未来のセレブ候補として、
楽しんでくるといいさ。
そこで最高の恋をしてきなさい。
もちろん、メディアやファンにはナイショで(笑)。
藤堂オーナーは、あまり多くを語ろうとしなかった。
ひとまず、ニューヨークで
成功している藤堂オーナーを信じるしかない。
みんなも、そんな顔をしていた。
藤堂オーナーが部屋を出た後、
テーブルに5枚の招待状が残った。
眩しいばかりの美しい琥珀色のカードが、
この旅の行方を暗示しているかのようだった。
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Xmasマスカレードパーティー『琥珀』への招待状
パーティー参加費 一人100万円の招待状を差し上げる。
Xmasイブまでに世界で
一番大切なものを盗まれないように
気をつけたられたし。
さぁ、恋のゲームの始めよう。
恋人館で君たちを待つ。
恋人館 ゼロの王子
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5人は、一瞬、目が点になった。
──(華音)ええっ、嘘でしょ?
──(リリカ)ゼロの王子、最高!
──(うらら)やったっ、8期生万歳!!
──(亜梨沙)私たちだけにプレゼントかしら?
──(真尋)ちょっと、待ってよ。
私、藤堂オーナーに尋ねてくるから。
だが一足早く、
藤堂オーナーは屋上のヘリポートから
飛び立ってしまった。
藤堂オーナーとゼロの王子は、
どうやら何かしらの関係に
あることだけは確かだった。
それからというもの、連日、真尋たち5人は、
このちょっと訳ありの招待状の話しで
持ちきりだった。