『天空の恋人館』No.7 L'amour ー 恋のはじまり

🎵春へ向かう草花へ


『天空の恋人館』

7. L'amour ー 恋のはじまり


パーティーフロアに戻ると、
待ってたかのように、紳士たちが
リリカ、うらら、亜梨沙に近づいてきた。

 エキゾチックな雰囲気のある碧川という紳士が、リリカの前に現れた。

──(碧川)先ほど踊ったとき、
〈あっ、このヒトだ!ぼくが探していたのは〉って、
瞬間にわかったのですよ。
二階の部屋の暖炉のそばで、語り明かしませんか?
とっておきのワインが冷えているのですが。

仮面の上からでも、彫りの深い風貌が伺えた。

──(リリカ)私、わがままですから、お気に召されないかもしれませんよ(笑)

リリカはセレブ気取りの話し方になっていた。

──(碧川)ミスわがままさん、大歓迎です!
どうぞ、いつもの貴女でいてください。

──(リリカ )でも、ほんとに私は

と口を開きかけるや否や、碧川が形のよいリリカの唇を奪った。
瞬く間の出来事に、リリカは為すすべがなく……
気がつくと、女の体になっており、赤面した。

心をつかまれたリリカは、
まるで魔法にかかったかのように、
気がつけば、暖炉の部屋にはいっていた。

うららにご執心なのは、貴公子然とした長身の紳士、三井だった。

──(三井)パーティーフロアの男性たちの視線が、
うららさんに向けられていたのをご存知てしたか?

──(うらら)えっ?  私にですか?

──(三井)はい。先を越されてはまずいと思い、
こうして失礼ながら、お声をかけました。
申し訳ありませんでした。

──(うらら)そんな、こちらこそ、光栄です。

──(三井)よかったぁ(笑)。ダメかと思っていましたので、凄く嬉しいです。

じゃ、深夜零時からのスターライトRAINBOWにご一緒していただけませんか?

──(うらら)花火が上がるのですか?  まぁ、 素敵!
私なんかでよろしいのでしょうか…(笑)。

うららは、遊びなれたボーイブレンドには馴れていたが、
誠実で、礼儀正しい三井のような紳士には弱かった。

二人はいつの間にか腕を組み、ガーデン奥にある恋のミュージアムへ出かけた。

ところで、発展家で最も恋多き亜梨沙は━━。

亜梨沙は、たとえセレブでも、
性のはけ口として自分に近づいてくる男たちとのアバンチュール願望が薄れていた。
自分の肉体ではなく、内面にも関心をもってくれる紳士がほしくなっていたのだ。

なぜだかわからないが、
カードの主、快盗シルクキャッツのことが頭から離れない亜梨沙であった。

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